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年が明けると競馬の中心はクラッシクへとシフトしていく。
競馬に携わるものすべての夢と言っても過言ではないダービーを目指して…
「はぁ~あ…眠い」
「・・・」
「次いつ走るんやろ…」
「・・・」
「あれは…祐一はんや・・・瀬戸口の旦那となに話してるんやろ…」
「・・・」
「何も聞こえへんから寝藁でもかじりながら寝よ。」
二月の東京競馬場。
「フサイチリシャール先頭に踊り出た!長い直線を逃げ切ってしまうか。馬群の中から虎視眈々、武豊とアドマイヤムーンじっと我慢も馬なりで馬群から抜けてくる。先頭はフサイチリシャール。さぁアドマイヤムーンが武豊のGOサインに反応して伸びてきた!!アドマイヤムーンとフサイチリシャールの一騎打ちになりそうだ!!外からはマッチレスバローもいい脚で伸びてくるが、フサイチリシャールこらえきれない!!アドマイヤムーン一着でゴールイン。」
素質馬の一騎打ちは武豊駆るアドマイヤムーンに軍配が上がった。二着は死守したフサイチリシャールではあったが、G1馬として不満が残る敗戦であった。ここからリシャールの歯車がおかしくなっていく。
翌週の京都競馬場。
有力馬不在で混戦もようのきさらぎ賞。押し出される形でメイショウサムソンが一番人気。
「なんや、またリシャールおらへんのか…なんかパッとした奴も居らんし気合のらんの~。」
「パッとした奴がいないとはどういうことじゃい!!」
「誰やお前?」
「名を尋ねられたら答えるが道理。我輩でっかいどうは北海道、様似さまさまで生を受け、流れ流れてやってきたのが美穂トレセン。姓はマイネル名はスケルツィ人呼んで!!…今年の岡田軍団で組長からクラッシクにのってさらに一個くらい取れるのさ!!バルクの上にいけるだけの素質があるんだ。だ!!」
「これはこれはご丁寧に…って長いわ!!」
「何でもええから覚えとけアホ!!お前なんかオレの足元にも及ばないことを見せてやるわい!!なんせオレは岡田組の一番馬なんじゃけ!!人呼んで…」
「もうオレが悪かったからどっか行ってくれよ~。」
「君達、レース前に無駄な体力を使うなんて…ずばりナンセンスですぞー。」
「…なんでオレの周りにはこんなんが寄ってくるんや…」
「ズバリあなたが一番人気だからでしょうー。」
「あっホンマや!!…」
「語りつくせないアドマイヤ軍団の中で、初めて生まれた超天才ことアドマイヤメインとはズバリ私のことでしょうー。」
「…なんかキャラ濃いし、こいつどっかで見たことあるような感じやなぁ…それで何の用や。」
「競馬は数学です。「神の法則」を解き明かした者がズバリ勝つのです!!」
「だから?!」
「あなた達は私に勝つことは・・・ズバリ出来ないでしょう!!」
「お前になんか勝たすかい!!こいつは負けかもしらんが、オレはまけてないからな!!がり勉もウドの大木もオレがつぶす!!」
「…はい負けました。ゴメンナサイ。だからもうどっか行ってください。」
「あはははははは!!!ズバリこのレースもらったでしょう。」
「はぁ…残ってたヤル気なくなった…」
「おいおいそりゃないぜっアミーゴ!!」
「・・・」
「無視って…繊細な俺の傷ついたハートを誰か温めてベイビー。」
「・・・」
「僕のこと覚えてないのかい?!ちょっとショックだけど…まぁいいさ!!それもこれもリシャールのせいとしときましょ!!アディオス・アミーゴー」
「何やあいつオレのこと知ってんのか…名前もいわんと行ってもうたけど、まぁいいわまとめて軽くもんでやろか!!」
きさらぎ賞・勝負所
「よっしゃそろそろ守ちゃんいくで~」
「ズバリこのレースもらったでしょうー」
「おっ来たながり勉!!」
「2000メートルの『神の法則』はズバリ解けたのです!!」
「…このレース1800やけど…」
「…おおおなんというイージーミス!!ズバリこれは計算しなおしです~!!」
「待たんかいワレー」
「なんや!!次は岡田組か!!」
「名前覚えとけ!!どこまでアホなんじゃい!!…おい待ていうちょるじゃろがい!!」
「待てって言って待つわけないやろ…抜けるもんなら抜いてみー!!」
「ナメくさりやがってぇぇぇぇぇぇ」
「おっ?!結構やるやないか。」
「岡田組の根性みせたるわ!!」
「オレも燃えてきたで~!!勝負や岡田組!!」
・・・・・
「皆さん熱いね~でもレースで熱くなるのはスマートじゃないんじゃない↑」
「!!!」
「どこ見てるんやウドの大木!!」
「名無し!!」
「名無しってなんじゃい!!俺には名前があるんじゃ!!」
「お前やないわ!!ちょっと黙っとけやボケェがぁ…○の穴から頭突っ込んで口の中でガタガタ言うぞ!!わかったか!!!」
「…はい」
「アミーゴ思い出したかな~!!そろそろ…追いついちまうよ!!」
「!!!!」
「ども!!」
「なっ…!!」
「アデュ~!!」
人気馬が実力を出し切ってなかなか見ごたえがある直線も、一番人気のメイショウサムソンを二番人気のドリームパスポートが差しきったところがゴール。見るものが見ればかなりの好レースだったはずなのだが、注目馬不在のレースの評価は上がりにくいものだった。しかしここでのメンバーが今年のクラッシックを盛り上げることとなっていく。クラッシック第一弾皐月賞まであと二ヶ月。
「おお、勝っちゃったよハッピー↑」
「…お前あのときのやつやったんやな。」
「アミーゴー!!思い出したね!!」
「…何がアミーゴやねん、馬鹿にしくさってぇぇぇ」
「おっと、怒らない怒らない、もっと楽しくいきましょう。真っ白白助にリベンジする者同士仲良く仲良く。」
「いずれリシャールはシバく…しかし、二度も負かされて黙って仲良くするほどお馬よしではないんや。」
「こわい…怖いねー。レースも終わったんだ楽しくやろーぜー。」
「楽しくできん…今日はしゃあないけどな、次が本当の勝負や!!」
「そんなに熱くならずに気楽にいこうぜアミーゴ!!」
「・・・」
「・・・なに?」
「お前、名前なんだっけ?」
そろそろと春になる三月。
三月に入るとクラッシックに向けてトライアルレースが次々と行われる。皐月賞に向うトライアルは三つ、弥生賞、スプリングS、若葉S。今年はそれぞれに注目馬がかち合うことなく参戦していた。弥生賞にはアドマイヤムーン。若葉Sにフサイチジャンク。スプリングSにフサイチリシャール。
この中で毎年一番の注目は弥生賞。皐月賞と同じ条件で走るために本番で人気になる事が多く、注目度の高さは折り紙つきである。
トライアル初戦である弥生賞に参戦したアドマイヤムーンはダントツの一番人気。相手はサクラメガワンダー、二番人気に甘んじてはいるものの暮れの重賞でアドマイヤムーンに勝った実力馬。お互い勝って本番に向いたいところである。
マッチレースも考えられたこのレースは、共同通信杯でフサイチリシャールを破ったアドマイヤムーンが鞍上武豊に導かれ完勝。二番人気のサクラメガワンダーは休み明けがこたえたのか惨敗。アドマイヤムーンはフサイチリシャールを破り、さらに暮れに負けていたサクラメガワンダーにリベンジしたことで、評価を確固たるものにした。
弥生賞から二週間後。阪神競馬場、若葉ステークス。
例年注目が薄い若葉Sだが今年は違った。数億という高額馬でデビュー前から注目を集めていたフサイチジャンクが参戦。デビューから無傷の三連勝で今回が試金石の一戦。さらに超良血のキャプテンベガ。母はニ冠馬のベガでこちらも期待の馬であった。良血だから高いから走るとは限らないのが競馬の世界。しかしこの2頭は期待にしっかりと応えた。勝ったのはフサイチジャンク、鞍上武豊に導かれ、前年のディープと同じように無傷で皐月賞へと向う。ファンは2年連続無敗の三冠に夢を膨らませていく。二着のキャプテンベガは優先出走権を獲得、最低限の仕事をこなしファンの期待通りにクラッシックにのってきた。
翌日の中山競馬場、スプリングS。
どんよりとした中山競馬場。皐月賞トライアルと銘打たれたレースも最後。注目は現世代唯一のG1馬フサイチリシャール。前走負けはしたものの、色々な要因が考えられる敗戦に人気は下がることはなくダントツの一番人気。他の注目馬がきっちりトライアルを勝ち上がっていくなかで、ここは勝って本番で勝負する。ファンの注目はそこにあった。
「ついにキタで~…」
「おうアミーゴ!!」
「なんやお前もおったんかい?!」
「おお、アウトオブ眼中…つれないじゃな~い。」
「こっちは待ちにまった日なんや…お前は違うんかい?」
「そりゃー勝ったらハッピーよ!!でも無理してまでってカッコ悪いじゃない↑楽して勝つ!!スマートにね。」
「楽したお前にオレは負けたんやな…なんだか惨めや…」
「おお何がそんなに悲し~レース前にそんなにテンション下げたら、あいつに勝てないぜ!!」
「ああホンマやな、励ましてくれてありがとう…って今お前に傷つけられたんや!!」
「その意気であいつに挨拶ぶちかまそうぜ!!」
「あ、挨拶ってなんや…傷つけた事はどうでもいいんかい…」
「おいリシャール!!今度こそオレ様がクールに差しきってやるぜ☆ъ(*゜ー^)> パチンッ♪」
「・・・」
「おいおい無視かよ↓ほらアミーゴもガツンと言っちゃいな!!」
「お、おう…おいリシャール!!」
「馴れ馴れしく話かけないでくれないかな。しかも呼び捨てにされるなんて心外だよ。だいたい君たち誰?」
「!!…なんやこいつ、偉く目線高いやんけ。」
「俺の名前はドリームパスポート。こっちは相棒のメイショウサムソン。」
「ああ…きさらぎ賞を勝った…」
「そん時の二着が…」
「二着なんて興味ないから、重賞も勝ったことない者にも興味ないしね。」
「(  ̄3 ̄)~♪ なかなか言うじゃない!!」
「ええで…このレースで忘れられん名前にしてやるわ…」
「おい待てよアミーゴ!!」
3コーナーから各馬勝負どころ、直線に入る。
「今までの鬱憤を晴らしたる!!いくで守ちゃん。」
「重賞も勝ってない君に僕が負けるわけないじゃないか。」
「本気で勝負したことなんて一度もないんや!!G1取れたのもオレが居らんかったからや!!」
「弱いものほどよく吠えるものさ!!G1馬の重みがどんなものかみせてあげるよ!!」
・・・・・
「アミーゴやってるねー…じゃそろそろ行こうか!!」
・・・・・
「どうしたのさ!!君の本気ってこんなものかい!!もうふらふらじゃないか!!」
「…まだまだや…!!」
「おっと忘れてもらっちゃ困るね!!お二人さんだけで競馬してるわけじゃないんだぜ!!」
「来たな…!!」
「俺にもG1馬の力ってのをみせてもらいたいね!!」
「どいつもこいつも…G1馬の力の前にひれ伏せーーー!!」
「G1G1ってやかましいんや……お前らぁぁ…まとめてつぶしたる…潰したるぞーーー!!!」
「こ、こいつ?!なんなんだ!!」
「ア、アミーゴ…コワッ!!」
「ウガァーーーー!!!!!」
「君たち…なんか…負けるわけ…いかないんだー…。」
「なんやフラフラやんけ…!!」
「・・・G1馬は…伊達じゃ…!!」
「お前の力なんてそんなもんやーーー!!!!」
直線の攻防は熾烈を極めた。メイショウサムソンに並びかけ一度は先頭に立ったフサイチリシャール。しかし突き放せない。2頭で後方馬群を引き離していくなかで、馬群から一頭ドリームパスポートが着実に差をつめてくる。三頭中山の坂を懸命に叩きあうも最後にもう一伸びしたメイショウサムソンが首差で2頭を退けたところがゴールだった。
「・・・」
「アミーゴ!!」
「はは、なんかよう覚えてないけど…オレが勝ったやろ。」
「…素直に完敗。」
「これで一つ返せたな…」
「俺はあいつに負けちゃったよ。」
「お前…負けたんか…そりゃ~。」
「別にいいさ!!」
「あいかわらずかるいの~」
「おっリシャール。」
「・・・」
「どうだリシャール↑俺の相棒強いだろ~!!」
「・・・」
「おいおいパドックでの覇気はどこいったんだ?!そんなにしょげることじゃないだろ!!まだ白星先行なのに…」
「・・・僕は君たちとは違う。」
「ははは負けてなおそれか、おもろいやっちゃの~。」
「・・・僕は君たちとは違う。」
「リシャール…大丈夫か?!」
「ほっといたれ…現実を受け入れん奴ならこれでしまいや…かまうだけ損やぞ。」
「おお厳し!!」
「厳しいない、腹がたっとるんや…」
「まあ相棒がそう言うならほっときますか。」
「・・・」
「ところで・・・」
「何?!」
「オレはいつからお前の相棒になったんや?」
同じ日の阪神競馬場
阪神大賞典を年明け初戦に選んだディープインパクト。ファンの注目は中山競馬場よりもこちらに集中していた。暮れの思わぬ敗戦から三ヶ月が経ったものの、あの衝撃は強い印象を残していたのだ…。しかしその印象はあっさりと消し飛ぶ、完全復活が適当な言葉かわからないが、変わりなく圧勝。なんの不安もなくいつものディープがそこにいた。今年一年がまたディープの年になるのは間違いなかった。
直前に中山競馬場で行われたトライアルの印象はあっさりと影に埋もれていく。どんなに頑張ってもいつもそれ以上のことがある…メイショウサムソンは時の女神にそっぽをむかれたまま、クラッシック第一弾皐月賞へと向う。
つづく・・・
03 | 2024/04 | 05 |
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競馬はさまざまなくだらないデータを飲み込んで忘れ、体内からにじみ出る直感を頼りに根拠なしの自信で邁進。