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話は唐突に始まる…

「シンボリルドルフ以来の無敗の三冠馬誕生!!ディープインパクト歴史にその名を刻みましたーー!!!」
荒々しい鬣に少し冷たく感じる風を受け、けして大きくはない馬体が何事もないように馬場を回る。
 名門の牧場で育ち、一流の血統に超一流の身体能力を兼ね備えたディープインパクトは、ホースマンの夢であり、サラブレットの理想を体現していた。
興奮と安堵の中、日本中でディープを称えていた多くの競馬ファンはまだ知らない…ディープとは似ても似つかないアウトローな三冠挑戦馬が一年後現れることを…

「世間様は三冠、三冠って…三冠ってなんなん?それよりも飼い葉をもうチョイ増やしてくれへんかなぁ…」
「サムソンさん三冠知らないの?」
「あ~知らん。」
「僕達はみんなそれを目指してるんだって。」
「だれに聞いたん?」
「テキとかよく来て話してるよ。」
「ああ瀬戸口の親分さんか~…オレの前にはたまにしかこんから世間様の事はようわからん。」
「牧場でもよく言われましたよ…だけど僕も詳しい事はわからないんです…ただ三冠になったら凄いって皆に。」
「シェンクはんは名門の出やさかい、俺より世間を知ってると思うわ。まぁ三冠が何か知らんが、皆喜んでるみたいやし、良い事って事はなんとなしにわかるよ。」
「皆が喜んでくれるなら僕も三冠になりたいなぁ…」
「オレはそれより飼い葉が多いほうがいいわ。」

秋のG1で盛り上がる中、翌年のクラッシクに向けて2歳馬達も熾烈な争いを繰り広げる。

三冠馬誕生の余韻が残る一週間後の京都競馬場。

「強い強いフサイチリシャール!!持ったまま後続を寄せ付けず圧勝!!2着は一番人気ドリームパスポート。離れた3着には人気の一角メイショウサムソンとロジックですが…」

 勝ったフサイチリシャールは母にフサイチエアデールという良血。しかしその毛色と走りは夢半ばで引退した父クロフネを思わせた、リシャールの逃走劇に皆クロフネの第二幕を想像し心を奪われる。…そんな中で3着争いにも敗れたサムソンに注目が集まるはずもなく、スターホースの影に埋もれる一頭の競走馬としてそこにいた。

「えらいしんどいわ!!なんやねんあいつ」
「サムソンさんお疲れですね?!」
「おう、シェンクはん。」
「なんかあったんですか?」
「いやいや普通に走ってきたんやけどな、うちの地元にはおらんような奴にあったわ。」
「サムソンさんの事だからめちゃめちゃビビらしてきたんでしょ!?」
「いや…捕まえきらんやった…隣にお上品なガキがおってよ、そいつがしんどいとか言うからちょっと励ましてたらなんだかわからないうちに突き放された。なんか遠~くをひた走ってたからな、ノーマークや…」
「へぇ…そいつの名は…」
「フサイチ…何チャラや…、隣にいた奴はロジック言うんのは覚えてんねんけど、何チャラは遠すぎてわからんかた。」
「フサイチ何チャラですか…」
「ああ、何チャラや…次みつけたら絶対しばいたるけな…」
「じゃあサムソンさん二番だったんですか?」
「……いや四番や。」

 冬の足音が少しずつ聞こえてくる11月半ばの東京競馬場。
「ここも逃げ切ってしまうのか!!強い強いフサイチリシャール!!二着争はメイショウサムソン。」
 勝ったフサイチリシャールは3連勝で重賞を制覇。さらにレースレコードのおまけ付き。その強さは二歳戦だけではなく、翌年のクラッシクの中心にまでなる存在になっていた。
 二着になったサムソンは前走6馬身以上離されていた差を2馬身まで縮めていたが、勝ち馬の鮮烈な勝ちっぷりに埋もれてしまう…僅かさで3着になったオンファイア。ディープインパクトの全弟という超良血の輝きもメイショウサムソンにスポットが当たらない要因でもあった。
サムソンの影は知らず知らずの中少しづつ濃いものになっていく…光が強ければ強いほど影は濃く、闇は深くある。

「もうホンマなんやねんあいつ…」
「何チャラがいたんですか!!」
「おったよ…」
「その様子だと何チャラしばけなかったんですか…」
「………遠出して帰ってきてたら仲間に傷をえぐられるこの悲しさ。」
「ご、ごめんなさい…重賞挑戦で凄く気になってたもで。」
「そやなぁ…重賞も取れんし、しばくんも出来んやっわ。」
「そんなに何チャラは強いんですか?」
「いやそんなこともないと思うんだけど…」
「えっ!でもしばけなかったんでしょ?!」
「いやな…隣に親切な奴がおってよ…オンファイヤちゅうんやけど、初めてきた俺に東京競馬場を一生懸命案内してくれて、あまりに一生懸命あっちもこっちもって説明してくれるから、最後まで聞いてやらんと悪いやんか…」
「それでまた…」
「捕まえれなかったのよ…でも…」
「でも?」
「何チャラの名前が分ったで…フサイチリシャールや。」
「!!!…最近テキがよく話してた奴じゃないですか!!」
「そや…強い強いってな、同一馬物やったんや。」
「僕も会ってみたいなぁ…。」
「シェンクはんは次も重賞?あいつ居るかもしれんで。」
「次は重賞じゃないみたいですけど、居たらサムソンさんの敵討ちですね!!」
「ありがとうな…やけど自分の落とし前は自分できっ…ちりつけるさかい、シェンクはんはいつも通りやってきたらええよ。」
「そうですよね…まだそいつが居ると決まった訳でもないし、とにかく頑張ってきます。」
「それより腹減った…馬運車の藁まで食いたいくらい腹ペコさんなのよ私…」

十一月も終わりの京都競馬場。
「外から2頭並んで飛んでくる。マルカシェンクとドリームパスポート!!そのまま2頭並んでゴールイン!!…一着はマルカシェンクか…」
 勝ったマルカシェンクは無傷の三連勝と2000メートルを克服した事でクラッシクの一番馬としての地位を確固たるものにした。逃げるフサイチリシャールと追い込みのマルカシェンク、対照的な2頭の対戦に注目が集まっていく事となのだが…。

「シェンクはんおめでとう。」
「ありがとうございまーす。」
「さすがやで~瀬戸口の旦那の期待によう応えてる!!わしにはマネできんで~。」
「そんなぁ、照れるじゃないですか…」
「あんた達浮かれるのもいいけど天狗になるんじゃないわよ…。」
「これはこれはラインクラフトの姉さん。」
「そ、そうですよね…ちょっと嬉しくて浮かれてました。」
「まぁ勝つのも大変だから浮かれる気持ちもわかるわよ、ただね……」
「ただなんですか…?」
「説教なんて柄じゃなかったわ。ごめんなさいね。とにかく頑張んなさい…」
「は…はい、頑張ります。」
「姉さんのような方が私達を励ましてくれるなんて…感激です。姉さんのためならこのサムソンなんでもしまっせ!!」
「ありがとう…ただ私の為と思うなら、テキのために頑張ってね。」

マルカが勝った翌日の東京競馬場。

 今ほど世界へと日本馬が出て行かなかった時代。世界を知る意味で、戦いの場として誕生したジャパンカップ。海外からのゲストが華やかにパドックを彩り、毎年独特の雰囲気のなか行われる。

直線の攻防

大逃げのリードを保ったまま先頭はタップダンスシチー。はたして余力はあるのかないのか?!
馬群から早め早め、ウィボジャード先頭に襲い掛かる
「へなちょこ男どもは私の後ろからゆっくりいらっしゃい、オーホッホホホホ…」
坂上でタップダンスシチー、一杯か?!
馬場の真ん中アルカッセットも伸びている!!
「エスコートでもいたしましょうか?」
「あら、そんな余裕がおありになるの?私、先頭は譲りませんことよ」
ようやく外からゼンノロブロイ!一気にゼンノロブロイ突き抜ける勢いだ!
「そうね…君にかまってる場合じゃないみたいだ!!」
「うりゃうりゃうっりゃうりゃー……ああもう疲れた、そんな引っ張らんでも追いついてるって…ヤル気なくすって、仲良く走ればいいじゃないって聞いてる?」
ゼンノロブロイとアルカセット!!お互い譲らない!!
「私を差し置いて盛り上がってんじゃないわよ!!ちょっと待ちなさい!!」
日本の名手武豊とリンカーンもやってくる…「僕も仲間に入れて~」
激しい先頭争いアルカセット粘る粘る、鞍上デットーリの激しいアクションに応えるアルカセット。
「どけどけどけどけどけー!!!」
後方から馬群を割ってやって来るのはハーツクライ?!ハーツクライだ~!!
「なにっよ!!危ないじゃない!!」
「何人たりとも俺の前を走らせはしなーい!!」
ハーツクライものすごい脚で先頭に襲い掛かる!!
アルカセット、ハーツクライ、アルカセット、ハーツクライ2頭並んでゴールイン…!!果たしてどちらが勝ったか…?!

 見ごたえある直線は、ハーツクライとアルカセットの2頭が並んだ所がゴール。
首の上げ下げをモノにしたのは世界のナンバーワンジョッキー、ランフランコ・デットーリ鞍上のアルカセット。破られる事のないであろうと言われ続けた脅威のレースレコードを更新しての勝利だった。破れたとはいえハーツクライも同タイムの二着、ちぐはぐなレースが続いていた為に人気は落ちていたが、日本馬最先着は底力のあるところを改めて感じさせるものだった。

「ちょっとアンタ!!よくもさっきは邪魔したわね!!」
「………」
「ちょっと聞いてるの!!」
「なぜ、なぜいつも届かないんだ…お母様から教えてもらった方法なんだぞ~!!」
「なんなのアンタ?!」
「なぜだ…お母様の教えは絶対だ!!絶対のはずなんだ…~~~~~((((((ノ゜⊿゜)ノあぁアアアアアア・・・。」
「この私をとことん無視するのね…そこの縦じまマザコン!!覚えてなさいよ!!」
「覚えてなさいって、君も引退だろ?!」
「私はまだ走るわ!!次は香港よ!!絶対またここに戻ってくるんだから!!」
「それはそれはご苦労様なことだな。まあ引退は我々が決める事じゃないから、せいぜい引退させられないように頑張んな…」
「うるさいわね!!さっさとウイニングラン行きなさいよ!!」
「お母様…僕はどうしたらいいんでしょう……わ~~~~~((((((ノ゜⊿゜)ノあぁ~~~~~。」
「アンタもうっとうしい!!お母様~なんて言ってないでちょっとは自分で考えて走ったらどうなの!!いつまでもぐちぐち言ってると蹴るよ!!。」
「……」
「何よ?!」
「もっと言って…」
「筋金入りの…変態ね。」


冬本番を迎える12月、中山競馬場。

「直線先頭はフサイチリシャール、後続を突き放す。馬群からジャリスコライトも伸びてくる、しかしリシャールが止らない、粘る粘るフサイチリシャール。後方から凄い脚で飛んでくるのはスーパーホーネット~!!フサイチリシャールに届くか届くか…2頭並んでゴールイン!!僅かに内フサイチが粘ったか?!」
四連勝で2歳チャンピオンに輝いたフサイチリシャール。母が手に入れることのできなかったG1を易々と奪取した。出てくれば人気を分けあったマルカシェンクは、調教中に骨折。もともとここを目指していなかったが、来年の対決も微妙な状態であるため、ファンの期待はフサイチを中心に回り始める事となる。

暮れのG1も有馬記念を残すのみとなった。そのグランプリに向う谷間の中京競馬場。

「リシャールも居らんのに負けられるかー!!って、なんでオレはこんなところで走ってなアカンねん!!守ちゃんようけしがみついときや!!ぶっ飛ばすで~!!」
リシャールが勝ったG1の注目度と比べるべくもない2歳のオープン戦。レースレコードを更新しレース内容も完勝ではあった。しかしメンバーもたいして揃わないレースをいくら勝ったところでメイショウサムソンの評価が上がることはなかった。まだまだ日陰の道である。

中央競馬の一年間の総決算、有馬記念。
今年の注目はなんと言っても無敗の三冠馬ディープインパクト。勝つ負けるなんて事は問題外で、どうやって勝つのかだけに注目は集まっていた。

「いつものようにディープインパクトがまっくってくる。次元の違う脚で今日も飛ぶのかディープインパクト!!先行集団は直線。先頭はタップダンスシチーにかわってコスモバルク、鞍上五十嵐おさえ切れずに早め先頭?!そこにリンカーンとハーツクライ、2頭とも今日は積極的な競馬でコスモバルクに並びかける。注目のディープインパクトが外からやってきた。先に抜け出した三頭に襲い掛かる。
先頭は熾烈な叩きあい!!ハーツクライが三頭の叩きあいから抜け出す、しかし後ろからやってるくるのはあのディープです。さあディープインパクトがやってくる…先頭はハーツクライ、ハーツクライ先頭!!外からディープもやってくるが、いつもの伸びがないのかディープインパクト?どうしたどうしたディープインパクト!!ハーツクライがまだ先頭、少しずつしか差がつまらない!!飛ばない飛べないディープインパクト~ディープインパクト届かないか~!!!」
悲鳴にも似た実況と観衆の悲鳴が上がったところがゴールだった。

「お母様やりました…やりましたよ(ノ`□´)ノオオオォォォー!!」
「ハーツ君おめでとう!!」
「リンカーさんありがとうございます。僕、僕…もう勝てないと思ってました(_TдT) 」
「ハーツ君もこれでG1馬だね。来年は僕も頑張らなきゃ!!」
「おうおうエリートさんが集まって(*ノノ)キャぴ(*ノノ)キャぴしよって、気色悪いったらないね。」
「バルク君はいつもそんなだから勝てないんだよ。」
「なんじゃと~((o(>皿<)o)) !!」
「ほら~すぐ興奮する…もうちょっと落ち着いて走れば~。」
「そうだぞ!!お前も僕のようになりたかったらいろんな走り方とか自分で研究してみろよ!!」
「((o(>皿<)o)) キィィィ!!お前なんかまだ4勝しかしてないじゃないか!!俺様はすでに7勝してるんだぞ!!教えを乞うのはお前のほうだろうが~!!」
「勝ち星?!チッチッチッ┐( ̄ヘ ̄)┌ 僕はG1馬ヽ(・_・)1v(・_・)2щ(・_・)3…(`□´)/ダァァー!!皆この紋所が目に入らぬか~!!」
「はははぁm(_ _"m)…って何をさせるんじゃい!!とことんなめやがって…」
「なめてなんかないよ。これがルールさ(´ー*`)キラーン」
「うっさい!!お前ら社台のエリート軍団のルールなんていつかぎったんぎったんにしたるけのー!!!雑草魂岡田組をなめるなよ!!」
「ほんとバルク君はいつもうるさいなぁ…あっディープ君…」
「・・・ども・・・」
「残念だったね…」
「ハーツさんが強かったんです…」
「そうだぞディープ(´ー*`)キラーン!!これからは何でも聞きにきなさい。このグレイトスーパーウルトラ最高エクセレントゴージャス……」
「・・・それじゃまた・・・」
「ああまたね…」
「・・・ゴールデンハンマーハーツクライに⊂((〃 ̄ー ̄〃))⊃」
「ディープもう帰ったよ…」
「ド━━━(゜ロ゜;)━━ン!!」

総決算有馬記念は衝撃の展開で幕を降ろした。しかし、何事もなく競馬は続いていく。競馬に絶対はないという使い古された格言を残して

…つづく


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極論と極論の狭間で人生を謳歌して。いずれ養子100人へと向ってひた走る。明るく楽しくを基本に、布団の中は日々一人反省会。死ぬ間際でもあれもこれもと夢を持ちつつ生きるのが目標。
競馬はさまざまなくだらないデータを飲み込んで忘れ、体内からにじみ出る直感を頼りに根拠なしの自信で邁進。
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